「知覚過敏(ちかくかびん)」という言葉は、だれもが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ただこのメカニズムは、意外なほどに知られていません。
知覚過敏について知るためには、まずは歯の構造から知る必要があります。
私たちの歯は、
1.エナメル質
2.象牙質
3.歯の神経
によって成り立っています。
歯の表面を覆っているエナメル質は、人間の体のなかでもっとも硬い部分です。このエナメル質は、硬いものをすりつぶしても、冷たいものや熱いものを取り入れても、ダメージを受けることはありません。このエナメル質のおかげで、私たちは痛みを感じることなく食べ物を取ることができるのです。
そしてエナメル質の下には、「象牙質」が存在します。この象牙質は、歯の神経とつながっています。そのため、エナメル質に刺激を与えると、それが神経を通って「痛み」として認識されるようになってしまいます。また、歯の根元の部分はそもそもエナメル質に覆われてはおらず、象牙質によってのみ支えられています。
このような歯の構造を知ることで、知覚過敏のことも理解しやすくなります。
健康な口内環境の場合、露出している歯はすべてエナメル質に覆われています。そのため、どんな食べ物をとったとしても、痛むことはありません。
しかしなんらかの原因で歯茎が下がってしまうと、象牙質の部分が頭をのぞかせることになります。象牙質には神経に通じる非常に小さな穴が開いているため、食べ物や風がここに触れると痛みが走るようになってしまうのです。
ただし、このときに走る痛みはあくまで一時的なものです。一般的なむし歯とは異なり、その痛みは刺激を取り除く(あるいは刺激がなくなる)と、痛みも消えます。
このような状態を、「知覚過敏」と呼んでいます。